2016年08月31日

しばらく乗らなかったバイクの修理

インジェクション(燃料噴射)方式のエンジンに変わってそろそろ10年になろうとしています。
そんな中、旧式のキャブレタータイプの車両の修理が入庫しました。
しばらく放置してしまったため、「エンジンが動かない」とのこと。
確認するとプラグが濡れてきません。
年単位で放置してしまったキャブレタータイプの車両は、まずキャブレターの不具合が考えられます。


最近のインジェクションタイプのエンジンは数年放置しても、バッテリーを交換してあげればほとんどの場合エンジンがかかります。
なので久しぶりのキャブレター整備だな~^^。


この仕事を始めた30年近く前、このような車両の修理は春先には必ず何台か入庫してきて、当たり前の整備だったのですが最近めっきり減りました。
初めて自分で整備した車両のエンジンがかかった瞬間!うれしかったのを覚えています。
このような修理技術も必要とされる場面が少なくなりますね。


エンジンがかからなくなる原因は・・・ガソリンが揮発して残ったガム質の固着。燃料の通路が塞がってしまうんです。
これを溶剤で溶かして清掃します。


昔は車両ごとに「この型式のバイクはのこの部分の修理が多い・・・」みたいな特徴があったのですが、最近の車両は不具合があるとすぐにメーカーリコール&改善キャンペーンになります。特徴のある故障は製造責任的な不具合のようですね。


  


Posted by 店主敬白 at 05:10Comments(0)バイクの修理

2016年08月27日

充電不良の修理

先月バッテリーを交換した車両が早くもバッテリー上がりで再入庫しました。
エンジンがかかると充電をする仕組みなんですが、どうやら充電電圧が出ていません。
調べていくと、発電するコイルが原因のようです。


原因のコイルはこの奥に・・・この車両はエンジンのマウントを外さないとコイルを取り出せないようです。
外装部品を外して、オイルを抜いて・・・


原因はアース落ちといって、何らかの原因で発電コイルから本来流れてはいけない部分に電気が流れて逃げてしまうもの。


この作業だけに集中できればよいのですが、日中はご来店されるお客様の対応もあり、なかなかはかどりません^^


手順通りに画像を残したかったんですが、つい忘れてしまいます^^
当初12.75vほどだった充電電圧は13.70v付近まで回復。これで大丈夫でしょう。


不思議なんですが、同じような修理が重なることがあります。
先に入庫したヤマハセローは、電圧を整える「ラギュレーター」の不良でした。  

Posted by 店主敬白 at 05:26Comments(0)バイクの修理

2016年07月10日

懐かしいバイク

なんとも懐かしいバイクが修理に入庫しました。
ホンダ TL50
調べたら1976年のバイク。40年も前になりますね。高校生の頃このバイクに乗っている先輩がいました。


クラッチが切れないとの事で修理になりました。どうやらクラッチ盤の張り付きのようです。
それにしても部品が用意できるのか???


さすが世界のホンダ。ちゃんと部品が出てきました。早速交換です。


これが張り付いたクラッチ。湿式の多盤式です。ピッタリ張り付いてはがれません。おそらく錆びているのでしょう。


えいっ!と工具でこじって剥がしてみました。見事にさび付いていました。
この錆びる原因ですが・・・
エンジンをかけるとエンジン内に水蒸気が発生してたまります。その水蒸気がエンジンの熱で蒸発する前にエンジンを止めてしまうのがひとつの原因かなと思います。一度エンジンをかけたら、よく暖機してそのあときちんと走行してエンジンの温度を上げる必要があると思います。


  
タグ :TL50


Posted by 店主敬白 at 04:58Comments(2)バイクの修理お気に入り

2016年03月15日

いまどきのバイクの修理事情 その2

今シーズン、雪が少なくて、はたらく車(バイク)には良い条件だな~♪と思っていたら・・・
エンジンの不調を訴えるバイクが多くて戸惑っています。
原因は新しいバイクに採用されているインジェクションに起因することが多いようです。
今回は、「走行中にス~ッとエンジンが止まってしまいました。」とのこと。
インジェクションの異常を示すランプも点灯しません。さて?


メインスイッチを入れたときになんか様子が変?静かです。
インジェクションの燃料ポンプの「ウィ~ン」という作動音がしません。
なんか嫌な予感(汗)


燃料ポンプが作動していないようなので、まずはヒューズの確認。


ヒューズは切れてませんね~。


ではでは、燃料が送られてきているのか直接確認。燃料ポンプから、インジェクターに送られてくる部分でホースを外して確認。
以前、走行中に止まってしまった車両を引き上げに行ったら・・・実は燃料切れだった(笑)という銀行員の方がいらっしゃいましたが、この車両の燃料はちゃんと入っています。


ホースを外してメインスイッチ・オン!!!
正常に作動していれば勢い良くガソリンが吹き出てくるはずですが、あぁやっぱり。


燃料ポンプの不具合 確定です。ホンダの場合、2年保証の範囲を超えると問答無用に保証対象から外れてしまいます。シビアです。メーカーに交渉しても取り合ってもらえません。
その点ヤマハは燃料ポンプに関しては保証延長があり、初期のジョグ(インジェクションタイプ)でも保証修理が受けられます。

キャブレタータイプではまず発生しない修理です。しかも部品が高価です。
故障が少なくて長持ちする働くくバイクとして長年ホンダのカブに乗り続けてきた方にとっては、信頼を裏切る結果だけに何とかならないものかと思ってしまいます。  

Posted by 店主敬白 at 14:31Comments(0)バイク技術情報バイクの修理

2016年03月11日

いまどきのバイクの修理事情

排気ガスの規制値が厳しくなって、小排気量の原動機付き自転車にも燃料噴射式のインジェクションが採用されてそろそろ10年。
キャブレタータイプ特有の修理もめっきりなくなって、エンジンのかかりも良くて使用する方にとって大変快適になったと思います。
整備の様子も大きく変化しました。
自己診断機能が搭載されているので、ある程度の不具合はテスターや警告ランプの点滅回数で判断が出来ます。
調子が悪かったり不具合の場合はこのインジェクションランプの点灯で不具合を診断します。


今回は「普通に走れるけど、最近なんとなく調子が悪くてインジェクションランプが点滅を始めました。」とのこと。
いまどきのバイクは少なくても油温・水温(水冷の場合)・傾斜・PBセンサー(吸入負圧)・排気温度など様々なセンサーが付いていて全てコントロールユニットで制御されています。
さて、インジェクションランプの点灯をカウントすると7回。
ここで登場するのがサービスマニュアル。これが無いと何も出来ません。


7回点滅は・・・油温センサーの断線か異常のようです。点検してみましょう。判りにくいですが、シリンダーにちかいクランクケース下側にセンサーがあります。
配線にテスターをあててみると断線はしていないようです。ということは?


センサーの異常ですね。本当かなぁ?でも交換するしか手段が無いので部品を用意して交換です。
外したセンサー。マニュアルにはセンサー単体の良否判定が書かれていません。外観を見てもどこが悪いのか判りません???


で、交換しても自己診断機能に不具合の履歴が残るので、専用のカプラで消去します。


これで完成、確認してエンジンを始動します。インジェクションランプも消えてどうやら問題は解決したようです。


本当に修理が出来ているのか???今までの修理とはまったく違うので戸惑ってしまいます。  

Posted by 店主敬白 at 19:49Comments(0)バイクの修理お気に入り